好きだったアルバムの好きじゃない歌

 

2018年 4月16日(月)

 

 過去のことばたちが死んだ、という感覚があって、火葬のこととかを考える。

 無かったことにしよう、ときどき乱暴な波がさ、ぐっとわたしの足首を掴んで、波打ち際ならまだ澄んでいる。死んだことばたちの骨を拾うときは素手で。骨があってよかったと思うよ。誰かに言いたいこと、今日はひとつもないな。

 暗闇の中で、残像になった。シャッタースピードが3秒とかのまばたきを、わたしたちは黙っていられないから。「3秒は、一瞬じゃないんだね」と言って、街中の光をにじませて、わたしたちだけが輪郭を握りしめているなんて、そんなの不公平だから。水たまり、赤提灯、タクシーのヘッドライト。誰かに、LINEで言いたいことも、今日はない。

 思い出の話ばかりをする。想像力がたりない。だから、未だに春の雨の、あの展望台のことなどを。たぶん、紙飛行機を飛ばすとき、あの場所から飛ばすけれど、たぶんそれは晴れの日に。思い出じゃない話をしたい、思い出になる前の思い出の話とかを、もっとしたい。

 眠ったはずの人がまだ起きていて、ドア一枚を挟んで風の音。懐かしさって、損なわれるのだろうか、いつかは。

 まずはすべて捨てる、というようなことを思った。水色のふせん紙を買うのはそれからで、水色のふせん紙を買うにはまず、すべてを捨てなければいけない、ということ。こんなにも多くの、なにもかも。

 だけど、捨てる前に、ことばたちだけが死んでいった。死んだあとの顔を見ないまま、焼かれていって、炎から出てきたら、顔とかもう無かったな。花もいっしょに燃えてたな、だけどあれは海辺じゃなかった、ってまた、思い出し笑いをしている。

 こだましている、ともしびはずっと遠くにある、そういえば今は「いつか」のさなか、誰かのまねは超たのしい。「地球って球体らしいよ」って、誰かがLINEで教えてくれたりしないかなあ。朝焼けに、吐き気。

 ホームセンターで1万円のママチャリに、まだ乗ってる。明日もそれに乗る予定。週間予報は当てにならないんだけど、なんでこんなにたのしいんだろう、いろんなものに負けてるけど、誰にも負けてない。