つけ麺と餃子と瓶ビール

 

2018年 5月2日(水)

 

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 大型連休の前夜、狭い狭いラーメン屋の中が世間だった。

 標準語で話すとび職のお兄さん。ネクタイまで疲弊の形相をしたサラリーマン。焼酎の紅茶割り、のりもの図鑑、三人家族。「ごちそうさま」の後、おつりを受け取らない老夫婦。味噌ラーメンすくなめの母娘。野菜炒めや回鍋肉の大皿からは龍の湯気。

 麺や定食が出てくるまで、餃子をつまみながら飲むビールが本番、のような人生だ。

 テレビでは全国ネットでねぶた名人が取り上げられていた。「そろそろねぶた小屋立つんじゃない?」と友人が言う。「今年も囃子?」「ううん、仕事あるから」「そういえば、○○ちゃんって今どこにいるんだっけ」「県外の学校に行った」

 拭いても拭いてもべたべたするテーブルや醤油差し、大人になったら故郷がこんなにも愛おしいか。帰ってくるべき場所に安住していることを常に恥じてはいるものの、やはりこの町の海や山や人などは誇りである。わたしもいつかはここへ帰ってきたいと思う。

 「夜空には赤が映える」と名人は言った。ビールで赤くなった頬、壁に掛けてあるカレンダーの数字、明日からしばらく赤いのが目にとまる。店を出ると、赤提灯が雨に濡れていた。

 遠くへ行けないようなボロの自転車で来た。押して帰った。