こどもの日

 

2018年 5月5日(土)

 

イトーヨーカドーで、帰省中の友人とバイト終わりに待ち合わせをした。「フードコートにいる」とLINEがきていたので、一席ずつチェックしたのだが見当たらなかった。もしかして、短期バイトとして店員に化ける、というコントをしているのでは?と思い、今川焼きやたこ焼きやクレープを焼いている女の人らの顔もくまなく見るが、コントはしていなかった。

わたしが幼稚園生のころ、このフードコートでたこ焼きを焼いている様子を凝視していたら、たこ焼きをひとつくれたお姉さんのことを思い出した。今そこでたこ焼きを焼いているおばさんがあの時のお姉さんだったりするのだろうか、と思う。

あと、このフードコートでミッフィーのTシャツを着たものすごいデブの女の人が、誰かが落とした千円札を「どしーん」と踏みつけていったのを見たことも思い出した。ミッフィーが張り裂けて、中から新しいミッフィーがでてきそうだった。まだ夏目漱石のころ。

こんな何でもないような場所にも意外と思い出ってあるもんだなー、とか考えていたらフードコートじゃない方向から友人がやってきた。3月に会ったばかりなので、それほどの懐かしさはなかったけれど、あたりまえにうれしかった。マックの新しい味のシェイクをもらった。カフェオレ味、おいしい。

とりあえず外へ出て、自転車を押してシェイクを飲みながら歩いた。友人とふたり合わせて「寒い」と100回言った。

近くにあるファミリーレストランへ入った。入り口に店のキモいキャラクターが立っていてキモい。

一通りメニューを見たけれどとくに食べたいものもなく、ドリンクバーの値段に「サイゼリヤはもっと安い!!!!」と激昂したかと思えば、「にんにくバター」とメニューを読み上げるだけで大笑いするわたしたちは、かなり情緒不安定な人たちみたいだった。

ピンポンを押して店員を呼びつけ「ポテトひとつください」と言った。「ポテトがおひとつ~」の後に妙な間があったので「とりあえずそれで」と言い放った。とりあえずもなにも、それしか頼むつもりがない。

先ほどまでシェイクを飲んでいたため喉が渇いた。お冷はセルフサービスなので立つ。「おいしい水」と書いてあった。一口飲んだ友人が「おいしい水だ」と言って継ぎ足した。

席に戻る際、ハンバーグやらステーキやらを注文している他のテーブルが目にとまった。あまりおいしそうではなかったが、休日に家族でファミリーレストランで食事をするという行為に金を払っているのだろうな、それっていいお金の使い方だな、という気持ちになる。

隣の席に通された家族に、今日バイトでわたしが接客した少年がいた。おそらく向こうもわたしに気がついて、それから少年はほぼ顔を伏せていたので申し訳なくなった。

ポテトが運ばれてきて、どうせこれからハンバーグとか食うだろと思われたのかは知らないが、ナイフとフォークがついてきたので、ナイフとフォークで細いポテトを食った。無駄に洗い物を増やすな、という気持ちがありながらやったので悪だと思う。

友人は春から就職したので、会社の話とかを聞く。「けっこう死ぬ」みたいな話をしていて、辞めろと言いたかった。過労ではなくて作業中の事故死という意味でけっこう死ぬらしい。せめて透明な靴に一万円札をぎちぎちに詰める夢を叶えるまでは死なないでくれ、と思う。

誕生日プレゼントをもらった。マリメッコのマグカップ(かわいい)。「自分もほしかったからおそろいにした」この上ないうれしい。わたしも誕生日プレゼントを用意していた。津軽びいどろの皿と、ヒバの木くずを渡した。ヒバの木くずは精神安定によいらしい。よろこんでくれたのでよかった。

五百円玉を眼球に当てはめてsnowというアプリで写真を撮り合った。

ファミリーレストランで話すような内容ではない話などもさっぱりと終えたので、322円だけ払って店を出る。キモいキャラクターの写真を撮る。照明と相まってキモい。

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駐輪場でわたしが「この前友達がスロットで大勝ちした」と言ったら「一回だけ社会勉強としてやってみたい」ということになり、帰り道にあるパチンコ屋へ寄る。

20円スロットのジャグラーを1000円だけ回す。「1000円だけ」というのがもはやだめな気もするが。わたしの金はすぐに飲まれた。友人はリール配列をきちんと見て狙っていたので性格出るな~と思いながら。わたしも友人もルールがよくわからずにやっていたら、店員が近づいてきて「もしかして初めてでしょうか?MAX BETでプレイした方が当たりやすくなりますよ」と懇切丁寧に教えてくださったのだが、まあそのぶん当たらなければコインもあっという間に無くなる。帰る前に店内を一周したらドル箱を積みまくっているおっさん。

パンダレンタカーのCMのパンダのものまねをしながら歩く。パン工場の前を通りかかり、横浜でわたしが勤めていたパン工場と同じにおいがしてきて嫌になる。「わたし、2ちゃんねる山崎製パンのスレとか読んでるんだよね」「頭おかしい人しかいなかった」とかを一方的に話しすぎてしまい、後から反省。工場の近くでヤバめなおじさんとすれ違ったので「なんだ、出勤か」と言う。変な人を見かけたら「この人は今からパン工場に出勤するので憂鬱になってしまっているのだ」と思うことにした。最低なのだが、実体験もあり涙腺にくる。

T字路で別れる。けっこう死ぬという危険な業務で彼女が死にさえしなければまた会えると思い「またね~」「気いつけてねえ~」「これありがとね~」とかを言って解散。

 

スマホを見ると、「ふたりで飲んでる」「くる?」とLINEがあったので、ふたりに乱入しようと試みる。「いま一軒目を出るところだから駅前で待ってて」ということになり、これまで押していた自転車にまたがる。

駅前に到着し、自転車を停める。夜行バスが駅前のロータリーに集結する時刻になり、乗ったことがあるバスが何台もやってくる。あれは上野に降ろされるやつであんまり好きじゃない、とかを思う。

高校生のころは親に嘘をついて一人で東京へ行っていた。後にいろいろがばれたのでどうでもよくなり、さらに回数は増えた。明日、東京で行われる文学フリマへ行きたかったのだが、通帳には1000円しかない。

シャッターが降りた駅ビルの段差に腰掛けていたら、猛烈に腹が痛くなる。「すまん、腹痛すぎて死ぬ」とLINEを送るも返事がない。胃が痛い、上からも下からも出そうだ、しかし酒が飲みたい。酒を、酒、酒、さ、s………

「やっほ~」「うわ、どうしたの」「腹が、痛え…」「トイレ行こう、トイレ」「下痢の音聞こえないように外で待ってるね」

治ったかと訊かれ「ガスしか出なかったがいくらかはましになった」と本当のことを告げた。

意地でも酒が飲みたい。

友人もトイレに行くと言いコンビニへ。わたしが下痢をしてしまったがために(したかったが実際はしていない)臭わないトイレを探さないといけなくなってしまった。申し訳ない。

一人はウコンの力だかヘパリーゼだかしじみちゃん本舗の肝臓を助けると書いて肝助だかを買い、臨戦態勢に入った。もう一人はたぶんもう飲まねえだろうな、という感じで、やたらカラオケに行きたがった。モテるのはこういう女だとわたしは知っている。わたしは「カラオケなんか行きたくねえよお」と、途中から来た人間とは思えぬ態度でカラオケを拒否した。

ローソンの綺麗なトイレには先客がいたため、あまり綺麗では無いデイリーヤマザキへ入った。友人がトイレから出てくるのを待つ間に、成人向け雑誌の表紙が近くにあったのでなんとなく見る。やはりこういう本は書店よりコンビニの方が売れるだろうな。

二軒目どうする~?↑みたいな感じになったとき、ふたたび猛烈に腹が痛くなり立てなくなってしまった。「え?!大丈夫?!?!」「ウッ…」あまり綺麗ではないデイリーヤマザキの床に手をついてしまい、棚の一番下に陳列されていた男性用ヘアワックスがよく見えた。

「ごめん…帰る……」

かなり最悪だ。わたしの一連のウンコ騒動のせいで、ふたりの時間を30分も無駄にした。友人がトイレからでてきて、「え?!」と同じ反応をした。申し訳なさ過ぎて、お詫びに名探偵コナンのマスキングテープを渡して許しを請う。

結局ふたりに駅まで送ってもらい「会えただけでよかったよ」なんて言ってもらう。そのあとふたりはカラオケに行ったらしい

 

帰宅し、這ってトイレへ。「上は洪水、下は大火事。これな~んだ?」のなぞなぞみたいじゃないかと思いながら泣く。

「出し倒せば元気になるよ」ときわめて冷静なテンションを含んだLINEがきていた。

 

「ファミレスでポテトだけ食って、社会勉強としてスロット1000円打って負けた

そのあと飲みに行こうとしたら腹が痛すぎてリタイアした

わたしは何をしているんですか?」

とツイートし、10いいねをもらう。

 

 

― 芸術家にはなれないなら、なにになりましょうかね。輪切りのレモンを水に浮かべたり、花を生けたりができないけれど、誰かが笑ってくれたらいいな、くらいには思っています。

 

 

2018年、21歳のこどもの日に ズーちゃん