日付不明

 

コンビニを3店舗も回って買いたかったものは350mlの缶ビール1本、喉の奥が痒いのは春だからではない。寂れた中心街にも点々とビルは建ち、地面を覆う石畳は規則性を保ちながら3色、しかし所々にひび割れが見られ、そこから芽吹く命は確かに春である。

 

目が合うと逸らす癖、すれ違うことに希望を見出していた年代を過ぎて今はもう、我々は同居しない二つの中にそれぞれ生きているということにしている。幻がエラー、正常は正常に動作。

 

嘘をつくことに一切の苦しさを感じぬ者もいるのだと、その言葉どもが自らの口から出たことに驚いていた。犬だか猫だかの糞に蝿が集る。

 

青年は皺の寄った千円札を女ふたりに突き出し、帰るように命じた。女らはひらがなのように身をくねらせ帰っていった。

わたしも青年に向かい手を伸ばしたが「やらねえよ」と一蹴、彼もまた帰ってゆく。

 

この街には地下鉄が走っておらぬが、貴殿には帰る場所があるか?

 

何と惨めな、ああ緑色の窓辺に、坂道を駆け下りれば青年の声がある。くたびれたソファ、斜陽、なぜ知らないふりをしてくれなかったのか、いつでも知らないふりをしていてくれ、修正液の白のような偽りの顔で。